Webマーケターのためのマーケティング入門
3章:期待値のコントロール
(最終更新日:2022.10.30)
■Net Promoter Score(NPS)と業績
みなさまも一度は記入したことがあるであろう、顧客満足度調査。
大体の場合は5段階で回答する。その際、(可もなく不可もなくは3をつけるので)4~5を付けた場合は合格と言ったところだろう。
5を記入した方は、再び利用してくれる可能性が高い。
これと似たような調査にNet Promoter Score(NPS)があり、「あなたはこの商品を他の人に薦めますか?」の質問に対して、
11段階で回答する。9点か10点は「推奨者」と言われ、当商品を他の人に薦め、リピートしてくれる顧客になる。
逆に、0~6点は「批判者」と言われ、リピートすることはない。
(推奨者の割合) ー (批判者の割合) をNPSといい、推奨者50%で批判者20%だと、NPSは30となる。
このNPSが高いと、それに比例して継続率や業績が良くなるというデータがある。
エリアや業界によっても数値は異なるので、過去との比較でサービスが改善されたかを測るのが適した使い方だろう。
最初に挙げた顧客満足度調査だとリピート率を計るにはやや不十分で、
業績(売上)と相関係数の高いNPSを採用するというのが近年の傾向である。
■期待と満足
上述の通り、顧客が他者に薦めたいくらい満足すれば、次も買ってもらえる可能性が高いということは分かった。 しかし、実際このNPSを上げる(顧客に満足してもらう)にはどうしたら良いであろうか。そのためには、 まず顧客満足について考える必要がある。顧客満足とは、商品、サービスが顧客が想定していた基準を満たしたかということである。 「ファーストフードであれば、素早くそこそこ美味しいハンバーガーが提供されること」 「60分の3000円程度の安価なマッサージ店であれば、きちんと凝りが解消されること」 である。商品によって求めるポイントが違う。顧客が想定しているサービス通り、もしくはそれ以上であれば、満足するのである。
■期待値のコントロール
ここで重要になってくるのは期待値のコントロールである。
先ほどのファーストフードだが、これが一食1500円という価格設定であれば当然期待が膨らんでくる。
プロモーションの仕方によってもその期待は変わってきて、求めるものが「味やボリューム」だったり「店内での演出」になってくる。
お客様が想定したポイントにおいて期待通りのものであれば、顧客は大抵満足する。
逆に期待以外の部分がある程度お粗末でも、そこまで文句を言われることは少ない。
つまり、変にあれやこれやと期待値を上げすぎないことが重要なのだ。
期待値を上げすぎてしまった悪い例としては、以下のようなものが挙げられる。
・「転職成功率99%」と言っていたのに自分が希望していた職種につけない
・「500円の一番くじ」でガムの包み紙のようなメモ帳が当たる
こういうことはあってはならない。二度と買わないし、友人にも買わないように伝わってしまう。
逆に良い例としては、マクドナルドだろう。
お客様のアンケートでは「もっとヘルシーなものが食べたい」を元に一旦は「サラダマック」を提供したがあえなく撃沈。
その後、自分たちに何を求めているかを問い直し、「クオーターパウンダー」や「ビックアメリカン」シリーズで大成功。
求めてる期待(ボリューム感、ジャンク感)に回帰したことが功を奏した。プロモーションでも、上手くそちら側に誘導している。
大事なのは、言葉にならない顧客の期待を読み取ることである。
(ところで、なぜ人はSNSで「スタバなう」とつぶやきたくなるのだろうか。こういった深層心理を探る、
観察するということがマーケティングには非常に重要である。紙面では書ききれないため、最後に参考サイトを紹介する。)
期待に応える。そのための、観察と提案である。
▼参考図書、サイト
「デジタルで変わるマーケティング基礎」 宣伝会議編集部編
顧客ロイヤルティを高める「NPS」のはじめかた 光安 史枝(NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション)
なぜ人は「スタバなう」とつぶやくのか 池田 紀行(トライバルメディアハウス)