Web制作、Web開発の歩き方

Webマーケターのためのマーケティング入門

1章:価値伝達の式

(最終更新日:2022.10.30)

■「それ、伝わってますか?」

普段の仕事でも言えることだが、相手に伝わらなければ、何かしてくれるということはない。 マーケティングも同様である。商品の良さが伝わらなければ、顧客は購入しない。 つまり、マーケティングとは商品の良さを伝える仕事でもある(4P*1のプロモーションに当たる)。 ここで、如何に顧客に価値を伝えるかを考えた1つの式*2を紹介する。

C = 4m + 3v + 2(i - f) -2a

C:Probability of Conversion(購入率)
m:Motivation of the User (購入意欲)
v:Clarity of the Value Proposition (価値の明快さ)
i:Incentive to take action (お得感)
f:Friction of Elements of Process (面倒くささ)
a:Anxiety about entering information (不安材料)

式の解釈は、ECサイトなどのWebマーケティングを想像すれば分かりやすい。 言葉や写真で商品の価値が伝わり、 定期的にセール(AmazonやUdemyセールを思い浮かべれば分かりやすい)を行い、 ページ遷移もスムーズで、カードで安心して購入できれば、購入率を高められるということである。 以下に、式の要素について1つ1つ詳しく解説していく。


■コンバージョン(購入率)

これは、広告が売上につながる転換率である。 リアル店舗だと看板を見た人がどれだけ入店し購入するか、ECだとサイトを訪れた人がどれだけ購入するかである。 収益につながる結果である。以降述べる各要素は、これを高めるための視点である。

■モチベーション(購入意欲)

ユーザーがどれだけ買う意欲があるかである。当然、買う意欲がない場合は購入につながらない。ここが一番大きい。 簡単な例を挙げれば、真夏の球場でビールを売るのと寒い路上でビールを売るのは、どちらが売れるかということである。 当然、真夏の球場が売れる。勝手に売れる。ユーザーのモチベーションの高い場所、時間を選ぶ。 ECならボーナス後にセールをする。Amazonセールの時期を考えれば分かるだろう。

セール時の購買意欲
■バリュープロポジション(価値の明快さ、ハマり度合)

集めた顧客に対して、彼らに刺さる価値を提案できているかである。 例えば、体育大付近の学生街のレストランに求められるのは、量と価格である。 ここに、高級フレンチ料理店を出しても、全く刺さらない。

学生街ではラーメン
■インセンティブ(お得感)

 題名の通り、簡単に言えばお得感である。「今だけ100円引き」「1000円キャッシュバック」などである。  最近で言えば、「Goto キャンペーン」等もそれに当たる。  加えて、「10食限定」「季節限定」などもここに当てはまると考える(万人に共通して嬉しいサービスと考える)。

キャッシュバックが後押し
■フリクション(面倒くささ)

購入過程での煩わしさである。例えば(現金がない状態で)電子マネーが使えない、 ECサイトで購入フローが分かりにくい等である。支払いまでの導線が拙いと、そこで離脱する人がいる。

電子マネーが使えない
■アングザイアティ(不安材料)

英語を正しく訳すと「情報入力に際しての不安」になる。ここではECに限った話ではないので、購入までの不安材料とした。 ECだと「カード入力が不安」「先払いが不安」ということがある。これは着払いも用意することで、不安を払拭することができる。 また、宿泊等だとすると「綺麗かどうか不安」「対応が丁寧か不安」などである。 これは「部屋の写真」「周囲の評判」「受付時の丁寧な接客」で払拭できる可能性がある。 何か心配な際は、食べログや旅行まとめサイトで口コミを調べることを考えれば分かりやすい。

購入時の心配事
■まとめ

上記のように、このような公式は実際の活動に落とし込んでこそ役に立つ。 自分の店では「モチベーション」の観点が抜けてた、「不安材料を除く努力」が足りなかった。 視点を補うツールとして使うのが正しい。そして、現状を分析して気づくことが大事だ。 気づけばお客様のために何ができるか、頭を働かせることができる。 そこが、最初の一歩だ。(実際にその活動によって売上がプラスになったか、後に数値で確認する必要がある)

▼注釈

*1 4Pとはマーケティング戦略で、価格(Price)、場所(Place)、Product(商品)、Promotion(販促)である。
*2 元マイクロソフトのプルナ・ヴィルジが2016年にSearch Engine Watchで本公式を紹介した。
(式自体を考案したのはMECLABS研究所)

▼参考図書、サイト

「デジタルハリウッド、先端マーケティング特論 2019年秋期 Day2ハンドアウト」
「デジタルで変わるマーケティング基礎」 宣伝会議編集部編
How to create winning ad copy using a scientific approach
コトラーのマーケティングを理解する!1.0から4.0までの歴史