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インターフェースを理解して、設計力を高めよう

第3話:インターフェースの設計原則

(最終更新日:2024.11.14)

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「良いインターフェースとは」

前回までの内容で、インターフェースの概要や役割、具体的な使い方というものを学んだ。 今回は、より良いインターフェース設計をするために必要な知識を学んでいく。 良いインターフェーが設計できれば、ソフトウェア品質や開発の生産性向上に大きく貢献する。 今回の学びを経て、安全で分かりやすく、柔軟で拡張性の高いインターフェース設計ができれば幸いだ。


1.良いインターフェースの特徴

良いインターフェースの特徴は、主に以下の6項目にまとめられる。それぞれ順に説明する。

■明確さと単純性
良いインターフェースは、使用者が直感的に理解できるほど単純である。 複雑性を最小限に抑え、目的を達成するために、必要な機能のみを提供する。

■一貫性
同じパターンやデザインを一貫して使用することで、使用者はインターフェースの振る舞いを容易に予測できる。 既存の標準や規約に従うことで、新しいユーザーでも迅速にインターフェースを理解し、使用することができる。

■柔軟性
良いインターフェースは、将来の拡張や変更に容易に対応できるように設計される。 異なるユーザーのニーズに合わせて、カスタマイズ可能であれば、申し分ない。

■疎結合
インターフェースは、異なるモジュール間の依存関係を最小限に抑えるように設計される。 加えて、一部のコンポーネントを他の実装に簡単に置き換えることが可能である。

■実用性
インターフェースには、使用者が実際に必要とする機能が含まれている必要がある。 そして、上記4つの特徴を持つと、必然的に使用者の作業を効率的に高める。

■ドキュメントとサポート
包括的で理解しやすいドキュメントを提供することで、使用者が機能を完全に理解し活用できる。 問題が発生した際に迅速なサポートを提供し、活発なコミュニティやフォーラムを通じて、使用者間の知識共有を促進する。

このような、良いインターフェースの持つべき基本的な特徴や原則を詳細に説明し、 これらが、どのように使用者の経験やソフトウェアの全体的な品質に影響を与えるかを解説する。 明確さと単純性、一貫性、柔軟性、疎結合、実用性、ドキュメントとサポートなど、 全てがインターフェース設計の重要な要素になる。 これにより、インターフェース設計の基本的な側面を理解し、実践的なアプローチを学ぶことができる。

また、良いインターフェースを設計するには、組織における円滑なコミュニケーションが欠かせない。 この点もぜひ、押さえておこう。

良いインターフェースを作るには、コミュニケーションが大事


2.インターフェースの設計原則

インターフェース設計は、一貫したデザインと振る舞いの保持が重要になる。 これは、類似の機能やコンポーネントが同じように動作する設計を意味する。 また、必要な機能のみを提供し、余分な機能を排除する最小限主義を採用することで、インターフェースをシンプルに保ち、 ユーザーが必要とする核となる機能に焦点を当てることができる。 インターフェースは、技術的な詳細を隠蔽し、ユーザーに理解しやすい抽象化した表現を提供することが大事だ。 これにより、内部の複雑な振る舞いを隠し、ユーザーに直感的な操作方法を提供する。

さらに、将来の変更や拡張に対して、柔軟に対応できるよう設計することで、新しい機能の追加や既存の機能の変更・拡張が容易になる。 コンポーネント間の依存関係を最小限に抑えることも重要であり、インターフェースはそれを使用するシステムや、他のコンポーネントと独立しているべきだ。 最後に、安全性を確保し、エラーが発生した場合に備えて適切なハンドリングを提供することが求められる。 つまり、インターフェースはエラーの状態を明確に報告し、安全な操作を保証するように設計する必要がある。

例として、TypeScriptのコードを通して、これらの特徴を持つインターフェースを説明する。 まず、ユーザーデータを表す型を定義する。 User インターフェースはユーザーデータの構造を明確にし、明確な抽象化と一貫性を示す。 ここでは、登録するためのユーザーに必要な情報は、idと名前、メールアドレスという最小限に絞っている。

ユーザーデータの型を表すインターフェース

次に、ユーザー関連の操作を行うサービスのインターフェースを定義する。 ユーザーデータの構造を明確にし、各メソッドは一貫した形式で、必要最小限の操作のみを提供する。 新しい操作が必要になった場合、IUserService に新しいメソッドを追加することができ、拡張性を担保している。 また、UserService クラスは IUserService インターフェースに依存しており、具体的な実装はインターフェースから独立し、疎結合性を持つ。 これにより、最小限主義、拡張性、疎結合性を実現している。 下記のコードでは、CRUD(作成、取得、更新、削除)に対応するメソッドを定義している。 getUser、addUser、updateUser、deleteUserがそれに当たる。

ユーザー関連の操作のインターフェース

最後に、上記のインターフェースを実装するクラスのサンプルを示す。 実際のコードでは、具体的なロジック(振る舞い)をここに記述する。 ここで、実際のCRUDに関する振る舞いを記述する。 振る舞いは後からでも変えることができる。

Classにおける実装例

今回の例では、良いインターフェース設計の特徴が、どのように表現されるかを示した。 CRUDという非常にシンプルな機能に対してのプロパティ、メソッドの定義なので、実装次第で様々な用途に使える。 このような設計は、システムの保守性、拡張性、および再利用性を向上させるのに役立つ。


3.まとめ

今回は、インターフェースの役割と具体的な実装例について取り上げた。 インターフェースは、振る舞いの部分を書かない。 そして、インターフェースを設計するときは、将来的な拡張性を意識しつつも、実現する最小限の構成にまとめ、設計する。 また、プロパティやメソッドは、何をするかが明快な名前にすることが必要だ。そして、他のインターフェースと役割が被らないようにする。

将来の実装を意識しつつ、最小構成の定義ができるようになれば、システムの保守性、拡張性、および再利用性の高いコードになるはずだ。

▼参考図書、サイト

 「ちょうぜつソフトウェア設計入門―PHPで理解するオブジェクト指向の活用」 技術評論社 田中ひさてる
どのようにしてクラス設計を行うのか?クラス設計の考え方とコツ Deep Rain