あの日見たタワマンの高さを僕達はまだ知らない(AI小説)
第6話 転落のはじまり
(最終更新日:2023.03.23)

(絵が小さい場合はスマホを横に)
1. 「快進撃」
守と舞子の会社「Tech Jump」は順調に成長し続けた。2019年1月までに全国14教室、都心の1等地に進出し、全てが黒字だった。 1人50万円、3ヶ月50人のクラスを年間4回で、1教室平均1億円(/年)を売り上げた。 会社は年商15億弱に成長し、大手商社からの出資も受けるまでになっていた。 タイミングの良さもあって日本一有名になった「Tech Jump」は出資を活かし、更に飛躍を目指した。 銀行からの借入も増やし、都心に10教室を追加で開講した。怒涛の勢いで教室を展開しながらも、10教室とも全て満席であった。 空前のプログラミングブームである。 4年前に田町の月45000円のアパートに住んでいた守の姿は、もはや遠い過去のようであった。 絶好調の守は、住んでいたタワーマンションの最上階の1番広い部屋に引っ越した。 私生活は華やかになり、六本木のバーでドン・ペリニヨンを頼んだり、西麻布の高級レストランで食事をするという機会も増えた。 女性関係も絶好調だった。年商15億のCEOでタワーマンションの最上階に住む守がモテない訳は無かった。 学生時代まるでモテなかった鬱憤を晴らすかのように、次から次へと違う女性と関係を持った。

2. 「最高潮」
そんな絶好調の守だったが、静かに転落の足音が近づいていた。 事業としては右肩上がりで、中の仕組みも出来上がってきていた。 組織設計も確立し、教室の管理、講師の指導、会計に至るまで大抵の業務はピラミッド型の権限移譲を構築できていた。 そして守自身、普段は何もしなくても会社は回るようになっていた。 暇になった守は、SNS(TwitterやYoutube)で、インフルエンサー活動を始めた。 実際に始めたのは2018年7月で、僅か半年の間に、Youtube、Twitterともにフォロワー数20000を超えていた。ビジネスでもSNSでも有名人だった。

3.「転落のはじまり」
公私に加えて、SNSも順調な守だったが、世界では異変が起こっていた。 そう、中国から発生した「新型コロナウイルス」の大流行である。 ニュースでも注意を呼びかける声が高まり、2020年4月には全国の教室を一旦閉鎖せざる得なかった。 タイミングの悪いことに、どこの教室も賃貸契約を延長したばかりで、取り消すことは難しかった。 5月以降のキャッシュインも怪しくなり、守の会社の財務状況は一気に苦しくなった。 更にお客様から 「今後の講義はどうなる?」 「お金を返してほしい」 という電話が相次いだ。 守と舞子はまずはオンラインで講義を進める作戦に切り替えた。 これにより授業を再開でき、普段の半分程度のキャッシュを確保できることを見込めた。 しかしながら、全国の一等地に構えた賃料を賄うには程遠かった。
