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インターフェースを理解して、設計力を高めよう

第1話:プログラミングインターフェース入門

(最終更新日:2024.1.20)

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「インターフェース is 何?」

インターフェースと聞いてよく思い浮かぶのは、USBのようなハードウェアの接続、通信を可能にする部分だ。 もしくは、ユーザーインターフェースのように、機器と人間が触れ合う接点という意味を思い浮かべる人も少なくない。 今回は、そういった意味合いとは若干異なる、プログラミングにおけるインターフェースについて数回に分けて説明する。 本説明を読むことで、プログラミングインターフェースは2点間の入出力という意味だけでなく、 アーキテクチャとして非常に重要な意味、役割を持つことが分かるだろう。


1.プログラミングインターフェースの定義

プログラミングにおけるインターフェースは、ソフトウェアの異なる部分が互いに通信するための共通の規則や契約を指す。 これは、異なるソフトウェアコンポーネントが互いに独立して機能するために、一貫性と相互運用性を提供する目的で用いられる。

インターフェースにはいくつかの種類がある。 API(アプリケーションプログラミングインターフェース)は、外部のプログラムがシステムやライブラリの特定の機能を利用するために使われる。 GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)は、ユーザーが直感的にコンピュータと対話するための視覚的なインターフェースを提供し、 CLI(コマンドラインインターフェース)は、テキストベースのコマンドを使ってユーザーがコンピュータと対話するために使用される。 このように、用途としては、2点間の入出力を担うということは間違いない。

一方、プログラミングにおけるインターフェースの重要性は、モジュール性と再利用性に表れる。 これにより、ソフトウェアのモジュールを独立して開発し、再利用することが可能となる。 また、適切に設計されたインターフェースは、ソフトウェアの保守性を高め、システムの拡張や変更を容易にする。 具体的なインターフェースの例としては、ライブラリやフレームワークが挙げられる。 これらは標準化された関数やクラスを提供し、開発者が容易に機能を追加できるようにする。 また、データ交換フォーマットとしてJSONやXMLなどがあり、これらもアプリケーション間をつなぐインターフェース(API)である。 異なるシステム間でデータを交換するための標準化されたフォーマットである。

インターフェースの設計において考慮すべき点は、明確で一貫したルールの提供と、拡張性と互換性を保つ設計の重要性だ。 これらを意識することで、将来の拡張や変更に対応できる柔軟なインターフェースを設計できる。

まとめると、プログラミングにおけるインターフェースは、ソフトウェア設計の基礎であり、システムの部品間での通信と協調を促進する。 今後の記事では、インターフェース設計の原則、言語ごとの扱い、最新のトレンドについて詳しく掘り下げる予定だ。 このセクションを通じて、プログラミングインターフェースの基礎を紹介し、その重要性と基本的な概念について理解を深めることを目指す。

インターネットでは、APIなどのインターフェースでつながる


2.インターフェースの基本的な概念

インターフェースの基本概念について考えると、まずその役割が重要だ。 インターフェースは異なるソフトウェアコンポーネントやシステム間の通信を媒介し、使用する側と提供する側の間の「ルール」として機能する。 これにより、どのような操作が可能か、どのように実行されるかが定義される。 インターフェースと抽象化の関係も重要で、インターフェースは複雑な内部動作を隠蔽し、ユーザーや他のプログラムコンポーネントに対して簡潔で理解しやすい操作を提供する。 この抽象化により、特定の実装に依存せずにインターフェースを再利用することが可能となる。 この辺りは次回以降に実例を通して紹介しよう。

インターフェースの特性としては、一貫性と最小限のインターフェースが挙げられる。 良いインターフェースは一貫した設計を持ち、使用者にとって直感的で予測可能な振る舞いを提供する。 また、必要最小限の機能のみを提供することで複雑さを減らし、使いやすさを高める。 インターフェースの具体例としては、プログラミング言語のインターフェースやウェブサービスのAPIがある JavaやC#のインターフェースは特定のメソッドの集合を提供し、実装クラスがこれらを具体的に実装することを要求する。 一方、ウェブサービスのAPIは特定のURLに対するリクエストを受け付け、特定のフォーマットでデータを返すことで、異なるプログラム間の通信を可能にする。

インターフェースの重要な原則には、セグリゲーションの原則とリスコフの置換原則がある。 セグリゲーションの原則では、インターフェースは特定のクライアントにとって不必要な依存を強いないように細分化されるべきだとされる。 リスコフの置換原則では、サブクラスがそのスーパークラスのインターフェースを実装する際に、元の契約を壊すことなく置換可能であるべきだとされる。

ちなみに、セグリゲーションの原則は、「不必要なものは持たせない」という考え方になる。 例えば、あなたがスマートフォンのアプリを作っていて、そのアプリには写真を撮る機能と電話をかける機能があるとする。 セグリゲーションの原則に従えば、写真を撮る機能だけが必要な部分には、電話をかける機能は含まれていないようにする。 つまり、ある機能や部品が他の部分に影響を及ぼさないように、必要な機能だけを持たせるように設計する。

また、リスコフの置換原則は「小さい箱は大きい箱の中に入れることができる」と考えると理解しやすい。 プログラミングでは、「箱」はクラス(コードの一部)だ。あるクラス(大きい箱)がある機能を持っているとき、 そのクラスを継承したサブクラス(小さい箱)も同じ機能を持つ。 リスコフの置換原則に従えば、サブクラスはスーパークラスと同じ方法で機能する必要があり、 スーパークラスの代わりとして使えるようになる。これにより、コードの再利用が簡単になり、柔軟性が増す。

インターフェースの実践的な活用では、設計時の検討事項として将来の拡張性や互換性を考慮し、変更に強い設計を心がける必要がある。 また、インターフェースを通じてソフトウェアコンポーネントの独立したテストが可能となり、保守や拡張が容易になる。 このセクションでは、インターフェースの基本概念とそれがプログラミングにおいてどのように機能するかを解説し、読者はインターフェースの役割、特性、設計原則についての理解を深める。 さらに、実際の例を挙げることで理論的な概念を具体化し、より実践的な理解を促進する。

セグリゲーションの原則は責務分担
役割や責務を共有せず、影響範囲を小さくする

3.まとめ

今回は、プログラミングインターフェースの概要を説明した。 インターフェースというと、2点間をつなぐ単なる接続面という理解だった人も少なくないだろう。 2点間をつなぐルール、2点間の責務分担、ひいては今後の拡張性を考えた全体設計という部分を想像すると、 インターフェースの重要性が何となく理解できると思う。

次回からは、少し具体例を挙げて、プログラミングインターフェースの重要性について説明したいと思う。

▼参考図書、サイト

 「ちょうぜつソフトウェア設計入門―PHPで理解するオブジェクト指向の活用」 技術評論社 田中ひさてる
C#入門編(12)オブジェクト指向【インターフェイス】 C#で学ぶプログラミング入門
インターフェース 「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるIT用語辞典