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インターフェースを理解して、設計力を高めよう

第5話:オブジェクト指向プログラミングにおけるインターフェース

(最終更新日:2024.2.3)

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「オブジェクト指向プログラミングにおけるインターフェース」

前回、インターフェースにおける模範解答とアンチパターンを比較することで、良いインターフェースの特徴と設計方法を学んだ。 今回は、様々な言語間でのインターフェースの扱いを見ることで、共通して重要な特徴を確認する。 加えて、オブジェクト指向プログラミングにおいて重要なインターフェースの目的について解説する。


1.異なる言語でのインターフェースの扱い

プログラミング言語によって、インターフェースの定義と使用方法は異なる。 ここでは、主にJava、C#、TypeScriptの言語を例に挙げて、それぞれの言語でのインターフェースの役割と特徴を探る。

まずは、Javaにおけるインターフェースを見てみよう。 Javaでは、インターフェースはメソッドのシグネチャを定義するために使われる。 これにより、クラスはインターフェースを実装(implement)し、定義されたメソッドを具体化(具体的な振る舞いを提供)する必要がある。 また、通常のプロパティは定義できないが、「int MAX_SPEED = 120;」のように、定数の定義はインターフェースにすることができる。

Javaのインターフェース

C#のインターフェースはメソッド、プロパティ、イベント、インデクサのシグネチャを定義するために使われる。 そして、一つ以上のインターフェースを同時に実装できるという特徴がある。 下記のSpriteクラスではIMovableインターフェースとIDrawableインターフェースの2つを実装している。 また、ここには書いていないが「string Model { get; set; }」のように、 インターフェースで、ゲッター、セッターを用いてプロパティを直接定義することもできる。

C#のインターフェース

TypeScriptでは、インターフェースはオブジェクトの型を定義するために使われる。 これにより、オブジェクトが特定の構造を持っていることを保証できる。 また、クラスが特定のインターフェースを実装するようにすることも可能だ。

TypeScriptのインターフェース

このように、異なるプログラミング言語では、インターフェースの概念が異なる形で存在するが、共通する目的は「契約」の定義と「疎結合」の促進にある。 インターフェースを通じて、ソフトウェアの構成要素間の依存関係を管理し、より柔軟かつ拡張可能なコードを実現することができる。 それぞれの言語におけるインターフェースの使用方法を理解することは、効果的なソフトウェア開発のために不可欠だ。


2.オブジェクト指向プログラミングとインターフェース

オブジェクト指向プログラミング(OOP)は、ソフトウェアをオブジェクトの集まりとして設計し、 これらのオブジェクトが相互に通信することでプログラムを構成するアプローチだ。 インターフェースは、このパラダイムにおいて重要な概念であり、以下のような役割を果たす。

■疎結合の促進
インターフェースは、クラスやオブジェクト間の疎結合を促進する。 疎結合とは、各部分が他の部分に対して依存しない、あるいは依存が少ない状態を指す。 インターフェースを通じて、オブジェクトは互いの具体的な実装に依存することなく、定義された契約(メソッドやプロパティ)に基づいて相互作用することができる。

■柔軟性と再利用性の向上
インターフェースの使用により、特定の実装に縛られることなく、オブジェクトの振る舞いを柔軟に定義することができる。 これは、異なるコンテキストで同じインターフェースを実装するクラスを再利用することを可能にし、コードの再利用性を高める。

■抽象化の促進
インターフェースは、システムの特定の部分がどのように実行されるかではなく、何をするかに焦点を当てることを可能にする。 これにより、プログラマは具体的な実装の詳細から抽象化されたレベルでプログラミングすることができ、より高度なソフトウェア設計が可能になる。

■多様性の提供
インターフェースは、異なるクラスが同じインターフェースを異なる方法で実装することを可能にし、ソフトウェアに多様性をもたらす。 これにより、プログラムは同じインターフェースに対して異なる振る舞いを持つ複数のオブジェクトを使用することができる。


3.まとめ

オブジェクト指向プログラミングにおいて、インターフェースはクラス設計の柔軟性、再利用性、および保守性を高める重要なツールだ。 インターフェースにより、開発者はプログラムの高レベルの実装に集中することができ、より堅牢で拡張性のあるソフトウェアを構築することが可能になる。 オブジェクト指向の設計原則としてのインターフェースの理解と適用は、効果的なプログラミングスキルの発展に不可欠だ。

▼参考図書、サイト

 「ちょうぜつソフトウェア設計入門―PHPで理解するオブジェクト指向の活用」 技術評論社 田中ひさてる
インターフェースとは?~継承とは役割が違う~ GiXo