サーバー、データベース、インフラに関するトピックス
■第15話:APIの実際の利用とベストプラクティス
(最終更新日:2023.10.02)

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「APIを使ってもらうには」
前回のAPIの開発と設計に続き、第3回ではAPIの実際の利用シナリオと、API利用時のベストプラクティスについて解説する。
APIは様々な環境と目的で利用されるため、その活用方法やテスト、セキュリティ対策は非常に重要だ。
また、APIの利用をスムーズに進め、問題を未然に防ぐために、ベストプラクティスの知識も必要となる。
本回では具体的な利用シナリオ、APIのテスト方法、セキュリティ対策、そしてベストプラクティスを紹介し、
これらの知識を元に、APIの効果的な利用と安全性の確保を目指す。
1.APIの利用シナリオ
APIを利用するシナリオしては「Webサービス間の連携」「モバイルアプリのバックエンド」「データ分析とインテグレーション」が挙げられる。
「Webサービス間の連携」では、APIは異なるサービスやシステム間でデータをやり取りするための重要な手段となる。
これにより、サービスの連携や拡張が可能になり、例えば、SNSのシェア機能や決済サービスの組み込みといった事が簡単にできるようになる。
「モバイルアプリのバックエンド」では、APIはモバイルアプリからクラウド上のデータベースやサーバーリソースにアクセスする際のインターフェースになる。
これによりリクエストを処理し、モバイルアプリに必要なデータやサービスを提供する。
「データ分析とインテグレーション」では、APIを利用してデータを取得し、分析ツールに統合することで、
ビジネスインテリジェンスツールとしての利用やデータ分析が可能になる。これにより、データ駆動型の経営意思決定をサポートする。
ビジネスインテリジェンスツールとしての利用
2.APIのテスト
APIのテストは大きく分けて「ユニットテスト」と「インテグレーションテスト」に分けられる。
「ユニットテスト」はAPIの各機能やメソッドが正しく動作するかを確認するためのテストだ。
これにより、コードのバグや予期せぬ動作を早期に発見できる。
ユニットテスト自体は他にも資料が沢山あると思うので、ここでは詳しくは説明しない。
「インテグレーションテスト」は、異なるシステムやコンポーネントが連携して正しく動作するかを確認するためのテストである。
これにより、システム全体の安定性や互換性を確保できる。
これらのテストでは、Postmanというツールを使い、APIエンドポイントへリクエストを送信し、
レスポンスを確認することで、テストを行うことができる。
具体的には、APIに送信するリクエスト(HTTPメソッド、エンドポイント、パラメータ、ボディなど)をPostman上で作成し、
送信を行い、レスポンスが期待通りであるか確認する。
Postmanの画面
3.APIのセキュリティ
APIのセキュリティとして気を付けるポイントとしては「SSL/TLS」「アクセストークン」「レートリミッティング」が挙げられる。
「SSL/TLS」はインターネット上でデータを暗号化し、安全に送受信するためのプロトコルです。
これにより、第三者によるデータの傍受や改ざんを防ぎます。
Web開発、Web制作している方なら当然知っていると思うが、APIにおいても 「SSL/TLS」にする。
「アクセストークン」はAPIを安全に利用するための認証手段だ。
これにより、許可されたユーザーやシステムのみがAPIにアクセスできる。
アクセストークンを利用した例としては、JWT(Json Web Token)が挙げられる。
JWTは軽量でセキュアなトークン生成規格であり、APIの認証や情報の交換によく用いられる。
JWTだけでもかなりのボリュームになるので、具体的な使い方については、また後日説明しよう。
「レートリミッティング」はAPIの利用回数制限である。
一定時間内に回数を制限することで、サーバーの過負荷やサービスの乱用を防ぐことができる。
APIのセキュリティ
4.APIのベストプラクティス
APIのベストプラクティスとして3つのポイントを挙げる。「バージョニング」と「エラーハンドリング」「ロギング&モニタリング」だ。
「バージョニング」は、APIの互換性や拡張性を保つために重要だ。
バージョンを分けることで、既存のクライアントに影響を与えずに、APIをアップデートや改善できる。
「エラーハンドリング」は、適切なエラーメッセージやステータスコードを返すことだ。
これらを確認できることで、開発者が問題を迅速に特定し解決できるようになる。
「ロギング&モニタリング」は、システムの状態やパフォーマンスを監視し、問題を早期に発見するための手段である。
また、ロギングはシステムの動作履歴を記録し、問題解析やパフォーマンスチューニングに利用することもできる。
APIのモニタリング
5.まとめ
APIの実際の利用とベストプラクティスを理解し実践することで、開発者はより効果的かつ効率的なアプリケーション開発を行うことができる。 適切なエラーハンドリング、レートリミットの管理、キャッシングの利用など、これらのプラクティスを取り入れることで、APIを安定して使用し続けられれる。 APIに関する技術資料を参考に、できるところから実践してみよう。
▼参考図書、サイト
「Web API The Good Parts」 オライリージャパン オーム社
APIテストとは何か?REST API テストの正攻法
Tech Matrix
Public APIのバージョニングの仕組みを解説
freee Developers Hub