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分かりやすいコードの書き方

第10話:これからのコーディング

(最終更新日:2025.5.03)


分かりやすいコード

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これからのコーディング

ここまで、コードの可読性・保守性・拡張性を高めるための具体的なテクニックと設計原則を9回にわたって紹介してきた。 最終回となる今回は、これからの時代に向けてのコーディングスタイルの変化や、分かりやすいコードを書くために、 私たちが今からできることを振り返る。特にAI活用などは、今後に必須のテクニックだ。 ただし、AIだけではできないことも多くある。その本質的なポイントは人間がおさえる必要がある。 今も昔も変わらない設計のポイントだ。




1.今後のコードの書き方のトレンド

今後のコードの書き方としては「記述量を減らすよりも、読みやすさ・明確さを優先する」 「意図をよりよく伝える」「テストファースト」「データ駆動設計」「OCP原則の遵守」などが当たり前になりつつある。 加えて、フレームワークの使用、型安全を意識した構造的設計も広がってきている。

2.AI(GitHub Copilotなど)との共存

近年ChatGPTのような汎用的な対話型AIの登場により、コーディングにおいてもAIの存在は無視できない。 これらのAIの登場により、コードの自動補完やテンプレート化が更に進んできている。 GitHub CopilotやAPIを通じたIDEと各種AIの連携は不可欠で、これなしには生産的なコーディングが出来ないと言っても過言ではない。

しかしながら、AIは「開発の意図」や「設計の背景」までは書いてくれない。 そのため、これからの開発者は「AIが出したコードを読みやすく直し、意味を添える」ことが求められる。 コメント・命名・分割の判断など、人間の知性が必要な領域は今後ますます重要になる。 加えて、使う人たちの目的に沿ったルール作り、それを反映したコーディング能力が、今後は更にウェイトが大きくなるだろう。

ヒアリング、合意形成が大事

3.実践的なガイドラインの再確認

分かりやすいコードを書くために必要なことを再度下記にまとめよう。 以下の6項目だ。

  • 一貫した命名ルールを持つ
  • 1関数1責務を徹底する
  • ifを減らして構造で表現する
  • 早めに関数分割する(「あとで直そう」は直さない)
  • ログ・コメントに「なぜ」を書く
  • 変更が入りそうな箇所はデータ化・抽象化しておく

実践的なコーディングのガイドラインは以下の通りになる。 上記の6項目と内容は同じだが、作業ごとに分けている。 非常に重要なことなので、これらの項目は遵守できるようにしよう。

項目 ポイント
命名 意図・対象・役割を明示する
関数 責任を限定し、副作用をなくす
コメント なぜそうしたかを書く。やったことはコードが語る
テスト 小さく、再現性があり、早く壊れるテストを書く
設計 変更を前提に。分離・抽象・レイヤーで守る

4.あなたにとって「良いコード」とは

「読みやすいコード」とは、書き手の視点だけでなく、将来読む誰かのために書かれたコードだ。 その「誰か」は、未来のあなた自身かもしれない。 このシリーズを通じて、少しでも貴方にとっての「良いコードとは何か?」という問いが芽生えたなら、それが最大の成果だ。

  • 読み手はどこで迷いそうか?
  • 読み返したときに「なぜこの実装なのか」思い出せるか?
  • チームの仲間が、同じ判断を下せるか?

このような問いを持ちながらコードを書こう

5.最後に

分かりやすいコードを書くことは、技術的なスキルであると同時に、読者(未来の開発者)への思いやりだ。 AIの補助が進んでも、設計、説明、判断、意図の共有は人間にしかできない。 それこそが、これからの開発者に求められる力だ。 あなたが書くコードが、チームを助け、未来の自分を助けるものでありますように。 「良いコード」とは何かを、ぜひあなた自身の言葉で考えてみよう。

▼参考図書、サイト

 「リーダブルコード」 Dustin Boswell、Trevor Foucher 著、角 征典 訳 オライリー